「人生のピークはもっと後に来ると思っていたのに」 勤務先の都内の旅行会社で、この日もいつも通り午前9時半から仕事していた。夕刻早退して出版社で吉報を受けた瞬間、「頭が真っ白になって、誰かに助けを求めたくなりました」。 2005年に文芸賞を受けデビューしたばかり。2作目となる受賞作「ひとり日和」では、母方の遠縁のおばあさんと2人で暮らすことになったフリーターの女性が、50も年の離れた同性とのかみ合わない生活の中で、少しずつ成長する様子を描いた。 「通勤電車からいい感じの光が差しているのを見て、主人公のイメージがわいた。女の子が自立の一歩を踏み出す瞬間を書きたかった」 子どものころから漠然と作家になりたかった。好きな作家はフランソワーズ・サガン。「18歳で『悲しみよこんにちは』を書いたのには、ジェラシーも感じます」。最近はカズオ・イシグロを愛読している。 埼玉県熊谷市生まれ。図書館情報大学で学