1 アーカイヴと大学 2005年11月、表象文化論学会設立準備大会におけるシンポジウム「表象のメディエーション 知の現場 現場の知」に、私は「アーキヴィスト」の立場で参加していた。キュレーター、プランナー、エディターとともに、「大学」と「現場」をつなぐ4種の「メディエーター」のひとつという位置付けであった。ほどなく東京国立近代美術館フィルムセンター(現国立映画アーカイブ)からフィルムアルヒーフ・オーストリアに移り、日本の研究や言論の場からは長く離れていたのだが、省みるとこのときに与えられた「メディエーター」の役割を、ヨーロッパにおいても愚直に模索してきたように思う。 大学を拠点とする研究者と、フィルムアーカイヴを拠点とするアーキヴィストの双方を取り込む形で運営されるカンファレンスなどに参加するなかで、両者間の時に敵対的とも見える距離に接する機会は多かった。研究者の側には、アーキヴィストが原