12日に4度目の新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言から1カ月を迎えた東京都。新規感染者は急増し自宅療養者も重症者も増え続ける。医療機関では対応が追いつかず、自宅療養中に症状が悪化して入院が必要な患者が入院できない事態も起きている。医療の最前線の現場からは「救える命さえも失われかねない」と切迫した声が上がる。 「先生、救急車が帰っちゃいました。入院させてもらえないんです」 10日、豊島区西池袋の池袋大谷クリニック。院長の大谷義夫医師は電話口で患者の家族の悲痛な叫びを耳にした。医師歴30年を超えるが、こんな事態は初めてだった。 患者は40代男性で、陽性が判明してから自宅で療養していたところ、血中の酸素濃度「酸素飽和度」が91%まで悪化。一般的に健康な人の酸素飽和度は98%程度で、90%以下になると生命を維持するのに必要な酸素が体に入っていない「呼吸不全」の状態とされる。 すぐさま家族が救急車