酒場で図書館コンサルタントの仕事を辞めた話をしていたら、呑み仲間のA君が「うん、わかるよ」と言った。 「本って、みんな電子書籍になっていくんでしょ? それなのに紙の本ばっかり扱っている図書館って、斜陽産業だもんね。仕事してて暗い気持ちになるのもよくわかるよ」 えっ? と思って、慌てて答える。 「いやいや、斜陽産業だから辞めたわけじゃなくて……その前に図書館というのは、紙の本ばっかり扱っているのではなくてですね」 と、ここまで言いかけて、私はこの調子で図書館について語り始めたら1時間でも2時間でも演説してしまうぞ、と気づく。 「ごめん、私がこの話を始めると、夕暮れのまったりした呑み屋の空気が台無しになっちゃうから、また後でちゃんと説明するね」 とその場は納める。それにしても、と私は思う。私の中にまだ、そんなに図書館に対する熱意が残っていたとは、ね。 図書館の世界からは離れるつもりでいた そも
![ライブラリー・ジャーナリストとしての出発 - 醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5b0ea19c8bd762b994c1ca40ad0ea099a3cbff22/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fm%2Fmia-nohara%2F20190412%2F20190412170341.jpg)