会社に休む時にやたらと『親戚の葬儀があるんで』を使う同僚がいる。 うちの会社が有給申請の理由にやたらとケチをつける癖に、冠婚葬祭に関してただけは空気を読もうとしてくるのが原因なのかもしれない。 今たしかにそこにある高熱よりも、非実在かも知れない親戚の死。 確かに社会人としてそれは正常なのだろう。 しかし彼に関してだけは正常が異常に変わる。 あるときだったか、飲み会をサボる時にすら「今日はこれから通夜があるんで」と言って私達の元を去っていった。 彼にとって親戚の死は凄い軽い。 本当は存在しないからなのだろう。 なにせ彼が今まで「祖母の葬儀が」と述べた回数を合わせると10回に及ぶらしいのだから。 普通の人間にとって祖父母は男女2人ずつしかいない。 曾祖母が奇跡的に全員少し前まで存命だったとしても2+4で6人にしかならない。 彼のひいひいお婆ちゃんのうち半数が彼の入社時にはまだ生きていた可能性も