「人間不信に陥るよ」。それまで不平不満も言わず、まじめに闘っていた格闘家がある時、急に態度を変える。格プロ業界におけるマネー・トラブルでよく耳にする話だ。決して労働環境が整備されているとはいえない業界にあって、こうしたトラブルはいま、現場で頻繁に起きている。今回、当事者となってしまった東京都内の事業者も、「話に聞いていたが、まさか自分がという思いだ」と打ち明ける。 「不平不満も言わず、まじめに闘ういいやつだ」。プロデューサーが最初に受けた印象で、何事もなく半年が過ぎようとしていたが、それまで何も言わなかった格闘家が試合を休みたいと申し出てきた。代わりの選手を用意するだけの余裕はない同社にとって、1試合だけとはいえ休場されるのは痛手だ。プロデューサーは状況を説明した上で、苦肉の策として、かませ犬と対戦させることで了承を得ようと試みた。 一時はそれでしのげたが、その格闘家の態度は徐々に悪化。何