「ネッカチ」と呼ばれるバンダナの巻き方を先輩から教わる男性(右)=大阪市内、矢木隆晴撮影お好み焼きの材料が書かれたレシピを見る男性=大阪市内、矢木隆晴撮影 刑務所内で採用面接をし、仮釈放と同時に仕事と住まいを提供する。こんな取り組みをお好み焼き店チェーン「千房(ちぼう)」(大阪市浪速区)が始めた。刑務所を出ては舞い戻る「再犯者」が後を絶たない現状に、中井政嗣社長(64)が「まず社会で受け皿を増やさなければ」と、運営に民間の力を借りるPFI刑務所で、正社員に道を開く採用に踏み切った。 クリスマスが近づいていたある日の午前、まっさらなユニホームに袖を通した男性(28)が、大阪市内の千房の店舗の調理場に立った。 「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」。元気な声をあげる。サラダ用のタマネギを刻む手は、まだぎこちない。レシピを覚えようと、先輩に質問を続けた。 パートで採用されたこの男