スマートフォン世界シェア3位の中国通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)。「顧客第一」の思想を掲げ、世界170以上の国・地域に展開する。急速な拡大の裏には、「三方よし」という日本の近江商人の心得に通じる姿勢があった。 2011年3月11日午後2時46分、華為技術(ファーウェイ)日本法人の無線エンジニア、元光燮(ユワンコワンシエ)(38)は東京・錦糸町のオフィスで激しい揺れに襲われた。窓がカシャカシャと音を立て、みんな一斉に机の下に潜り込んだ。日本に来て5年ほどだったが、「今回の地震は過去にないものだ」と直感した。 元が家族よりも前に電話をかけたのが、基地局を納入していた通信事業者だった。基地局の被災状況を自ら調べて事業者に連絡。対処可能な局の修復に遠隔操作で取りかかった。 ようやく応急の修復を終えたのは翌12日午前5時過ぎ。だがこの日、東京電力福島第一原発で1号機の原子炉建屋が水素爆発