刑法学とはどういう学問か 刑法とは、犯罪と刑罰に関する法のことをいい、刑罰(の警告と賦課)を手段として将来の犯罪を防止し、社会秩序を維持しようとする。この刑法を研究対象とする刑法学は、ほかにこれだけ魅力のある学問分野はないであろうと思われるほど魅力に富んでいる。それは法律学でありながら、「人」を研究対象とする人文科学や自然科学の諸領域、そして「社会」を研究対象とする隣接の社会科学の諸分野と密接に関わる一種の学際科学である。哲学・倫理学や文学や歴史学、心理学、医学、経済学や社会学等々の学問分野にある程度、深く踏み込んで学ぶことをしなければ、刑法学の様々な問題にアプローチすることはできない。人と社会についての学問的認識と知見は、すべて刑法学にとり重要である。逆に、刑法学を学ぶことにより、そうした認識・知見に触れることができ、また、普通はなかなか見えてこない、人や社会の隠れた側面を見ることもでき