山形浩生 スロウィッキー『「みんなの意見」は案外正しい』(角川文庫) 解説) 要約:みんなの意見は案外正しいが、まちがっていることもあるうえ、だれも責任をとれないし、またそれが計算のやり方次第で構築されるものだという認識も必要。でもそれさえわきまえれば、新時代の新しい常識生産の可能性がここにはある。ついでに、これが普及すればこれまでの常識の担い手である年寄りの地位は低下することになり、別の含意が出てくるが…… この本は、「みんなの意見」つまりいわゆる集合知についての本だ。傑出した(とされる)専門家の見解よりも、ふつうの人々の意見や感覚をまとめたほうが、予測精度の高さや適応力の高さを示すことがある。そしていまや、それを積極的に活用しようという試みがいろいろ見られるようになった。なぜそれが可能なのか? その可能性と留意点はどこにあるのか? さて本書のテーマは、最近ではかなりあちこちで話題になっ