【ニューヨーク=橋本潤也】マレーシアのマハティール首相(93)は28日、ニューヨークで、2003年以来15年ぶりに国連総会の演説に臨んだ。「15年前から世界は良い方向に変わっていない」と述べ、米中貿易摩擦やテロを例に挙げ、世界の現状に懸念を示した。 03年まで約22年にわたり首相を務めたマハティール氏は、「ナショナリズムやポピュリズム、国際協調からの離脱が世界で広がっている」と指摘。「70年前に勝利した5か国が要求を押しつける権利はもうない」とも語り、米英仏露中が拒否権を持つ安全保障理事会の改革も訴えた。 演説後の記者会見でマハティール氏は「アジアで台頭した中国や日本、韓国は今、互いに協力できていない」と苦言を呈した。かくしゃくとした口ぶりに、記者団から「健康の秘密は」と問われると、「秘密はない。たばこや酒をやらず、食べ過ぎに気をつけ、運動をし、睡眠を十分取っているだけだ」と言って笑った。