ハンス・オラフ・ヘンケルは、かつてドイツの経済界で最も名の知れた存在だった。今、欧州議会の新しい議員に選ばれ、欧州の経済界の同僚たちとは最も対立する方向に歩み始めている。ユーロという通貨を葬り去ろうというのだ。 母国ドイツは、通貨をドイツマルクに戻した方がよい、と主張する。勤勉で規律を重んじるドイツ人は、ユーロが持つはずだった優れた特性を食いつぶしてしまうギリシャやイタリアや他のユーロ圏の国々のぐずどもを援助するために、税金を納めるようになってしまった。だから、この通貨統合をやめさせねばならない――今年5月の欧州議会選挙で初当選し、そのための足場を得た。 それが成功する可能性は、あまりない。ほとんどのドイツの財界人は、強いドイツマルクが輸出の妨げになった時代に戻るつもりはない。ユーロを維持するためのコストが高い、と陰ではぶつくさいっても、近年、この通貨統合が危機にひんしたときには、ドイツは
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