英労働党の新党首ジェレミー・コービンが早くも苦境に立たされている。 労働党の中でも左端に位置する彼がこの時期に党首になったというのは不幸な巡りあわせだったかもしれない。難民・移民は大挙して欧州に押し寄せているし、シリア情勢はロシアの介入でカオティックだ。怒涛の時代に大政党をまとめるのはそれでなくとも容易ではない。 労働党内部から「シリアに軍隊を送るべき」という声が出ている。 左派紙オブザーヴァー(実質的にはガーディアン紙の日曜版)に労働党議員のジョー・コックスと保守党議員のアンドリュー・ミッチェルがジョイントで記事を発表した。コックスは元オックスファム幹部であり、人道支援のバックグラウンドから議員になった人だが、その彼女が保守党議員と一緒に「シリアの市民が安全に過ごせるヘイヴンを警護する目的で英軍を派遣すべき」と主張しているのだ。 「シリアの状況を解決するために軍隊を用いるのは倫理的に間違
米バージニア州リッチモンド市郊外に、州立素行更生センターという施設がある。刑務所ではなく、性犯罪を起こした受刑者が刑期満了後に送り込まれる場所だ。定員300人。そこにリジナルド・アーティス(本名)という52歳の男性がいる。 アーティスがなぜ施設にいるかと言えば、23歳の時(1987年)、同じ職場にいた17歳の少年を犯したからだ。彼は同性愛者との自覚はあったが、87年になるまで誰にも言えず、隠し続けた。 高校時代から有能なアメリカン・フットボールの選手で、スポーツ奨学生として大学に進学。運動を続けている間もゲイであるとの自覚はあったが伏せていた。 大学卒業後、就職した会社に少年がいた。年齢は5歳離れていたが相性がよく、たびたび飲食を共にした。ある晩、いつものように食事をした時のことだ。アルコールが入っていたこともあり、アーティスは少年を強引に押し倒して犯してしまう。 少年を犯し25年の実刑
最近、漫画、アニメ、ゲームの舞台化が相次いでいる。2次元の世界を、実在の人間たちが3次元で再現した舞台作品は「2.5次元」という造語を生み出し、公演数も急増中だ。特に、今秋は新作、シリーズ作ともタイトルが目白押し。あれもこれも舞台化されて、大丈夫なの? 【写真】その他の写真を見る ■デビュー前のSMAPから始まる「2.5次元」の歴史 宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』を別として、昨今の2次元の舞台化作品の歴史をたどっていくと、デビュー前のSMAPを起用し、1991年に舞台化(ミュージカル化)された『聖闘士星矢』にたどりつく。以降、1993年初演の『美少女戦士セーラームーン』(通称:セラミュ)は、現在まで脈々と上演され続け、『セーラームーン』ブランドの定着に貢献した。 もっとも成功しているのは、「テニミュ」と呼ばれる『ミュージカル・テニスの王子様』だ。2003年の初演からキャスト交代を繰り返し
先月、『ドイツリスク 「夢見る政治」が引き起こす混乱』(光文社新書)を上梓した。ドイツにおける、エネルギー転換(脱原発と再生可能エネルギー導入)、ユーロ危機、ロシア・中国への接近、歴史認識問題などについての現状報告の本だが、これらの問題に通底するドイツの「危うさ」を「夢見る人」としてのドイツ人の特質に求め、日本に根強い「ドイツ見習え論」に警鐘を鳴らす、という趣旨の本である。 キーワードの「夢見る人」とは、拙著で次のように定義した。「自分の抱いている先入観や尺度を対象に読み込み、目的や夢を先行させ、さらには自然や非合理的なものに過度の憧憬を抱くドイツ的思惟の一つのあり方」(p.11)と。これはロマン主義的傾向としてドイツ文化論などではつとに指摘されてきた、ドイツ人の国民性である。 私はベルリン特派員時代に、福島第1原発事故をきっかけにしたドイツ脱原発方針の決定、ユーロ危機を通じたドイツや欧州
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