小さな図書館の挑戦 -「猫ノ図書館」開設とねこ館長- 奥州市立胆沢図書館:渡辺貴子(わたなべ たかこ) はじめに 猫本コーナー「猫ノ図書館」は、岩手県奥州市立胆沢図書館内にある「猫本」(猫が出てくる本)だけを集めた常設コーナー(780冊)で、2017年2月22日(猫の日)(1)に開設した。また、コーナーの顔として「ねこ館長」を市内から公募し、来館者投票により「むぎ」を任命した。主な任務は写真やSNSを活用した画像による活動である。 1. 以前の状況 奥州市立胆沢図書館は、市内公立図書館4館1室の1つである。施設は建物が田畑の中に点在する散居集落の中に位置する胆沢文化創造センター(文化会館、郷土資料館との複合施設)内にあり、蔵書は約7万冊である。 2014年以降、当館の入館者数や貸出冊数など図書館の利用が低迷した。例えば2013年度に年間7万7,000冊だった貸出総数が2015年度には6万7