新宿ピカデリーにて『マイマイ新子と千年の魔法』を見た。素晴らしかった。本当に素晴らしかった。これはなんというか、存在すること自体が奇跡のような、そんな映画だ。何が奇跡なのかを一言で言えば、この映画が「物語のイロハを完全に無視した映画である」ことだ。いや、違うな。「物語のイロハを完全に無視したところで作られながら、観るものの心に極めて深い感動を与える」ところに、この映画の素晴らしさがある。以下ネタバレなしで感想を。 「物語のイロハ」とは何か。簡単に言えば、それは「登場人物が何かを乗り越える」ことに他ならない。 例えばよくあるアクション映画なんかは、「絶体絶命の危機に陥った主人公が、その危機を乗り越える」という構造で作られている。 まず、小さな危機5つ、中くらいの危機2つ、大きな危機1つを作っておいて、それをタイムスケジュール上に配置する。そして「愛する人のために危機を乗り越える」とか「人類の