■使命を明確に創意工夫を 県立図書館の機能縮小に関する今回の顛末(てんまつ)は、あまりにも「お粗末」と言える。財政難なので、県立図書館の閲覧、貸し出し機能を廃止するために、図書館法の適用を外すというのは、そもそもの行政の根幹的業務(特に、広域公共団体である県として)の否定につながる。 この発想には、法令にのっとって、さまざまな施策を効率的・効果的に実施するという公務員の使命に欠けることはもちろん、上からの指示にむやみに従い自己保身を優先する「小役人」的なずるさすら感じられる。このような「劣化」が、県政全体に蔓延(まんえん)していないことを納税者として祈るばかりである。 公立図書館の貸し出しを制限することは、特に、県立図書館のように広域的、専門的に研究資料の収集と提供を主とする場合など、特殊なことではない。国立国会図書館では、貸し出しは原則として行わない。貴重な資料の散逸や劣化を防ぐ