第一景「受注」 しかし、営業が顧客に出来ぬと申し出ることも、また不可能 第二景「仕様確定」 新人の頃から嫌というほど見てきた。 顧客の仰せとあらば、意志をなくし傀儡となる元請け社員。 顧客は傀儡ではない。もっとおぞましい何かだ。 第三景「デスマーチ」 うぬか、仕様を変えしはうぬか。 このモジュール内でバグが発見された場合、その犯人として最初に疑うべきは外部の者ではない。 管理職が心の平衡を失ったのは、いつの頃からであろう。 神妙である筈のプロジェクトの進捗を制御できぬと自覚した時ではなかったか。 心という器は、ひとたび、ひとたび、ひびが入れば二度とは、二度とは 第四景「納品」 この日、客先におもむく元請け社員の顔は一様に沈痛であった 進捗報告に招かれた外注社員たちの胸中もまた同様 会議室へ向かう管理職たちの表情は、弔辞のそれである 「間に合わぬと申したか」 ペキィ 「口は災いの元」 納期を