今朝、ランドナーを捨てました。 19歳の時に出会ったあいつは、僕を新しい世界へと誘ってくれた。 キャンプ道具を積み込んで時速20㌔で走る旅のよろこび。 憧れの峠まで自分の足で高度を稼いでゆく高揚感、その先にある見たことない景色。 時に雨に打たれ、空腹に倒れながら、旅先で触れた人のやさしさ。 今でもあの美しいシルエットの向こうに友人たちと紡いだ数々の思い出が蘇ってくる。 山登りへの道を拓いてくれたのもランドナー。砂利道を行けども着かぬ登山口。 でも、そのしんどさ以上の興奮があの頃の「山」には確かにあった。 就職してから暫くは自転車に乗ることも無く、一時期通勤に使ったくらいでここ数年は部屋の外に置き去りにしていた。 再びあいつに乗ることも無いだろうと思い、今朝ごみ置き場にそっと置いてきた。 夕刻、仕事からの帰り道、ひょっとしてまだ残っていないかと気になってごみ置き場を回ってみたが、そこにはもう