普通に「モーター」と言って想像するのは、模型の車や船などに使う小型の直流モーターでしょう。これの原理は中学校の理科で習うと思いますが、一応、図1で簡単におさらいしておきましょう。 モーター本体は、中で回転するローター(電機子、アーマチュア)と、外側に固定されたフィールド(界磁、ステーター)から成っています。ローターは鉄芯にコイルを巻いた電磁石(磁石の話参照)で、導線の端は整流子と呼ばれる筒状の金属片(整流子片)につながれています。図1のモーターは2極型ですから、整流子片も2つに分かれています。整流子片はブラシと呼ばれる別の導体に接触しており、ここから電流が供給されます。電源をつなぐと、電流はブラシから整流子片を通ってローターに巻かれたコイルを流れ、もう一方の整流子片から反対側のブラシを通って出て行きます。 初めにローターが図1(a)の位置にあったとしましょう。電流は左のブラシから橙色の矢印