asahi.com（朝日新聞社）：ゴミの堆積に時代映す 長編小説「巡礼」の橋本治さん - 出版ニュース - ＢＯＯＫゴミの堆積に時代映す 長編小説「巡礼」の橋本治さん2009年8月27日橋本治さん＝松本敏之撮影 橋本治さんがゴミ屋敷の住人を描く長編小説『巡礼』（新潮社）を発表した。男はなぜゴミに埋もれて暮らしているのか？ 周囲には迷惑千万なゴミの山は、男のわびしい半生をたどるうちに戦後の時間の堆積（たいせき）に思えてくる。橋本氏に戦後日本のあり方も含めて聞いた。 都市郊外の住宅地。自宅の敷地にゴミの山を築いて暮らす老境の男がいる。周辺の住民は悪臭に閉口して市役所や保健所に訴えるものの、男は「ゴミではない」と主張するため、私有物には市も手を出せない。ワイドショーが取材にくる騒ぎになっても事態は改善されず、序盤はゴミの山が理不尽の象徴のように突きつけられる。 橋本さんは「主人公は自分でもなぜゴミをため込んでいるかわかっていない。何かの抗議だと思うが、表現の怖さや気持ち悪さの自覚がない自己表現。思想性のない人
