最悪の予感 パンデミックとの戦い 作者:マイケル ルイス早川書房Amazonこの『最悪の予感』は、統計データを用いることで、従来誰もやってこなかった手法で選手を採用し、戦術を組み立てていった野球チームについて書かれた『マネー・ボール』などで知られるマイケル・ルイスの最新作である。ノンフィクション界きってのストーリーテラーである著者の作品、それも今まさに進行中のパンデミックを扱った作品ということで、期待しながら読み始めたがやはりこれはおもしろかった。 巧みなストーリーテリング能力は健在で、米国におけるパンデミックの進行とその対抗を、個人の視点をつなぎ合わせて鮮やかに浮かび上がらせている。とはいえ、米国におけるCOVID‑19との戦いの実績は世界的にみても最悪である。 graphics.reuters.com 現時点で3400万人を超える感染者数に、60万人を超える死者。ピーク時には全米で一日