金環日食の日が近づいている。 徐々に緊張が高まってきている。 わがことながら不思議なのだが、私はどうやら日食を心待ちにしているようなのだ。 当日は、晴れてほしいと思っている。 もし東京が晴れない予報だったら、前日泊で、どこか太陽が出そうな場所に宿を確保すべきだろうか、と、真剣にそう考えはじめてもいる。 とはいえ、予報は直前にならないとわからない。私は、どうすれば良いのだろう。やはりダメ元で宿泊先を押さえておくべきなのだろうか。 書店の店頭に日食グラスの販売コーナーが設置されはじめたのは、2カ月ほど前からのことだ。 この段階では、あまり心を動かされなかった。 「日食とか、どうせ電通が仕掛けたステマだよ」 その種のデマをツイッターに流すことこそしなかったが、基本的には冷淡に構えていた。 無論、このたびの日食が、歴史上稀有なジャストミートであることは知っていた。生きている間に見る、おそらく最後の
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