「恋するとバカになるという事を芸として昇華させたのが(関西の)和事。それを忘れると、何でこんなバカな男にほれるのかという、やぼな話になる」と話す橋本治氏=飯島啓太撮影 作家、橋本治氏がプロデュースしたDVD「女流義太夫 人間国宝 竹本駒之助〜ひらかな盛衰記より神崎揚屋(かんざきあげや)の段」が発売された。解説者として出演もした橋本氏に、女流義太夫の魅力を聞いた。(多葉田聡) 伝統芸についての著作も多いが、女流義太夫を初めて聞いたのは4年前。「義太夫は男がやるもの」と思っていたが、三味線の鶴沢寛也(かんや)が主催した会で駒之助の語りを聞き、「本当にびっくりした」という。 「駒之助さんは文楽の太夫もできるが、基本は素浄瑠璃。人形に頼らないから、語りがストレートに迫ってきて、絵が見える」 だが、女流義太夫は今、「やる人より観客の方が少ないかもしれない」厳しい状況。広く親しんでもらおうと、義太夫を