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ブックマーク / www.vice.com (9)

  • 〈よそ者〉になった気分──リナ・サワヤマが直面する英音楽賞の排他性

    所属レーベルDirty Hitに、1stアルバム『SAWAYAMA』で何を獲りたいかと問われたリナ・サワヤマは、「マーキュリー・プライズが欲しい」と答えた。それは2019年、まだ制作の初期段階のときの話だが、今や作はレビューサイト〈Metacritic〉で高評価を得て、エルトン・ジョンには2020年「最強の」アルバムと称されている。 7月23日、英国でもっとも栄誉ある音楽賞のひとつ、マーキュリー・プライズの2020年ノミネート作品が発表された。ノミネート12作品のうち、チャーリーXCX、デュア・リパなど女性アーティストの作品が半数を占め、賞の歴史が変わったと称賛されている。しかし、高評価を得ている『SAWAYAMA』はノミネートされなかった。エルトン・ジョン(7月26日のInstagramの投稿で作について言及)だけでなく、『The Guardian』の音楽評論家や〈ピクセル〉と自称す

    〈よそ者〉になった気分──リナ・サワヤマが直面する英音楽賞の排他性
  • Z世代による、懐かしのラブコメ映画辛口レビュー

    もしかしたらあなたは、毎年クリスマスに『ラブ・アクチュアリー』の上映会を開催したり、サンドラ・ブロックの全作品にめちゃくちゃ詳しい、立派な〈ベーシック〉だったかもしれない。あるいは『JUNO/ジュノ』が好きとか言っておきながら、誰もいないときにこっそり『ホリデイ』を楽しんでいる、(口先だけの)人とは違うクールガールだったかもしれない。いずれにせよ、もしあなたが今20代ならば、ティーンの頃数々のラブコメ映画に出会ってきたはずだ。 ラブコメが人気を博したのは1990年代から2000年代。すなわち、すべてのひとがストレートで、シスジェンダーで、白人で、オフィスの棚にしまってあったサンプルサイズのPradaのワンピースも着こなせてしまう時代であり、世界にはニューヨークしか存在せず、〈うつ〉なんて誰も聞いたことのなかった時代だ。あの時代、コンデナストの女性誌編集部だけが唯一の仕事場だった。それでもよ

    Z世代による、懐かしのラブコメ映画辛口レビュー
  • ルー・リードの写真から考える、シス男性とトランス女性の恋愛を美化する危険性

    5月上旬、ある写真がTwitterのクィアユーザーのあいだで話題になった。そこにはボックス席にゆったりと腰掛けて女性の肩にもたれかかり、彼女のももを親密そうに優しく引っ掻く30台前半のルー・リードが写っている。彼女は左手でリードの頭を抱き、そのまま彼の頭にあごを乗せそうな雰囲気だ。「ルー・リードとトランスジェンダーのパートナーのこの写真のことを考えてる」とツイートには記されていた。 仲むつまじげなふたりの写真は、特にコンテンツにおけるトランス女性を恋愛描写を待ち望んでいる人びと、トランス女性たちが質的、実存的に愛されないストレート中心な世界のフィクションに反論する根拠を求めている人びとの心に訴えかけたことは、言うまでもない。この写真が提示する、ぶっきらぼうで厭世的なロックスターが、社会の大半から拒絶されるような女性を心から大切にする、というラブストーリーは、単純だからこそ美しい。しかし、

    ルー・リードの写真から考える、シス男性とトランス女性の恋愛を美化する危険性
  • https://www.vice.com/jp/article/wjkvqm/yakuza-and-olympic

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  • パチモン・ブランドをパリ・ファッション・ウィークで売り込む

    〈Pierre Klein(ピエール・クライン)〉、〈Cuggi(クッチ)〉、〈Lewis Vooton(ルイス・ヴートン)〉…。ガラクタみたいなジュエリー、そして〈I♡大麻〉キャップなどを売るコピー・ブランドは、世界中の露店で主要な売れ筋アイテムだ。私は、数々の露店を見てきたが、そのなかでも、頻繁に遭遇するブランドがある。それが〈Georgio Peviani(ジョルジオ・ペヴィアーニ)〉だ。 明らかにイタリア人男性であろう名前をGoogle検索してみると、この名のもとに発売されたデニム・ジーンズが多数出てくる。しかし、ジョルジオ・ペヴィアーニなんて人物は表示されない。やはり、明らかにただのコピー・ブランドだ。どのブランドのコピーか? 答えはやはり〈ジョルジオ・アルマーニ〉だろう。 しかし、ペヴィアーニはそこから何の利益も得ていないはずだ。なぜなら、ぺヴィアーニのロゴは、アルマーニのそれ

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    white_rose
    white_rose 2017/12/04
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  • CDもDVDも半永久的だったはずなのに

    たいてい、コーヒーの染みのようで、どうやっても消せない。あるいは、ディスクの表面をピンで引っ掻いたような傷であったり、全体が変色していたりもする。いずれにせよ、このような〈ディスク・ロット(ディスクの腐敗)〉を発見したときには、名盤も、おもしろい映画も、二度と鑑賞できない。 光学メディアをダメにしてしまうこの腐は、デジタル公文書のアーキビスト* にとっても、今となっては珍しい〈レーザーディスク〉のようなフォーマットで映画を観たいみなさまにとっても、かなり深刻な問題である。 この現象について探ってみよう。 「ディスクをナイフで切りつけるのはオススメしません。ディスクを灰皿がわりにタバコをもみ消しても、ディスクは壊れてしまいます。でも、ジャムをこぼすくらいなら大丈夫です」 これは、1988年、レコード・レーベル〈ニンバス(Nimbus)〉が調査したCDのパフォーマンス研究に対し、EMIの広報

    CDもDVDも半永久的だったはずなのに
  • 最低最悪のシンセポップが北朝鮮を崩壊させる

    平壌、朝6時。異常なほどの静けさに包まれた朝の空気を打ち砕いたのは、街中のスピーカーから流れる、不快で耳障りな「どこにいらっしゃるの、将軍様?」という曲だった。 「職場、家、街中、北朝鮮のいたるところで音楽が流れています」。カリフォルニア大学バークレー校の政治学教授であるダレン・ズック(Darren Zook)はそう語る。「北朝鮮テレビ局は全て国営で、プロパガンダ発信源になっていますが、1日中放送しているわけではありません。番組がないときには、プロパガンダ音楽を延々と、何時間もぶっ通しで流しています。市民の義務として、テレビは常につけておかなくてはならない。だから、彼らは音楽を自然と聴かされてしまう。つまり、常に国家の存在を意識させられているわけです。行動の条件付きですね。音楽によって、体制はいつでも見ている、と思い出させているのです」 この国において流行した音楽は、時代を問わず、常に時

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  • リサイクルショップからゴミ置場まで 個人レコードディーラーの長い1日

    千億円を超える市場規模にまで復活したレコード。これはもはやブーム云々ではない。確実に私たちの生活のなかでレコードは回り始めた。そんなレコード市場は、レーベル、ディストリビューター、ショップだけで成り立っているのではない。個人レコードディーラーが、現在の市場を活気づけているのだ。 生ける屍と化していた愛すべき音楽フォーマットが復活しつつある。もう心配はない。数十年もの低迷期を経て、2016年、英国のレコード売上は320万枚を超えた。過去25年間で最高の記録だ。米国はさらに好調で、市場規模は10億ドル(約1095億円)に迫ろうとしている。スーパーにはレコード・コーナーが設置され、プレス工場はフル稼働している。Discogsではレア盤が高値で売買されている。この事態を誰が予測できただろう? しかし、音楽産業全体にとって、320万という数字は、まだまだ僅かなものである。例えば1986年、この年だけ

    リサイクルショップからゴミ置場まで 個人レコードディーラーの長い1日
  • TIN MACHINEを経て夜空を見上げる 追悼:デヴィッド・ボウイ

    音楽的にも商業的にも失敗のレッテルを貼られたTIN MACHINE。ブックオフにたくさん並んでいるTIN MACHINE。デヴィッド・ボウイ自らメンバーの一員となって展開したこの短命バンドは、ひとつの通過点としてのみ語られることが多いのですが、確実にボウイの未来へ繋がっていたと思うのです。 2016年1月10日、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)が亡くなりました。享年69歳。その前の12月28日には、MOTÖRHEADのレミー・キルミスター(Lemmy Kilmister)も昇天。その際に友人と「誰が死んだら相当ショックなんだろう」なんて話をしてまして、「やっぱ(ビート)たけしかなぁ」と、個人的には結論を出したのですが、まさかこんなに早く違う答えが出るとは。直前の1月8日に新作『★(ブラックスター)』のリリースがあったせいで、各媒体への露出もありましたから、やっぱスゲエなぁ、なん

    TIN MACHINEを経て夜空を見上げる 追悼:デヴィッド・ボウイ
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