2月の都知事選の際、雪の中、安倍政権批判を叫んだ直木賞作家のなかにし礼さん(75)は最新作「天皇と日本国憲法」で、憲法改正の動きに真っ向から反論を繰り広げている。終戦後、8歳の時に旧満州から家族で命からがら引き揚げてきた。戦争の悲惨さを身をもって知っている作家に「安倍とは何者?」と問うと、「」と言下に答えた。 ――新刊は随分、骨太、ストレートなタイトルですね。 本当に大事なことを、ぼやかさずに言おうと思ってこのタイトルにしました。 ――帯には「日本国憲法は世界に誇る芸術作品である」と書かれている。本の冒頭に出てくる坂口安吾の言葉も強烈ですね。<人に無理強いされた憲法だと云うが、拙者は戦争はいたしません、というのはこの一条に限って全く世界一の憲法さ。戦争はキ印かバカがするものにきまっているのだ>という文章です。 昭和27年に書かれた「もう軍備はいらない」の一節です。無頼派作家の坂口は