「じゃあ、行くね」 彼女の表情にもう迷いはなかった。その目は前だけを見つめていた。 頑張って。応援してる。 僕は彼女にそう言ったが、 (引きとめたい…) この期に及んでも、まだそう思ってしまっていた。 しかし、これまで何度も考えて、これがベストだという答えを出したのだ。 「ありがとう…私…幸せだったよ」 彼女の言葉が決心したはずの気持ちをグラグラと揺らす。 僕も。 そう声を出すのが精いっぱいだった。 涙が出そうになったが、何とかこらえる。彼女の門出に涙はダメだ。 にっこり笑って彼女は出ていった。彼女の姿が見えなくなった後も、彼女の笑顔は僕の心に焼きついたままだった… 彼女と付き合い始めたのは、1年前だ。 僕は趣味で小説を書いており、書いた作品などを小説投稿サイトに載せているのだが、投稿した小説をたまたま彼女が見てくれたのがきっかけだった。 彼女はサイト内で僕の作品に対する感想をよくくれたの