杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigekiスエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi メキシコ戦後半21分、エルナンデスに2点目を決められた日本 ブックメーカーの予想はグループリーグ最下位。ブラジル、イタリア、メキシコ相手に3連敗は、想定通りの結果だった。とはいえ、その事実を突きつけられると、楽観論を唱える人はさすがに減るはずだ。日本は強いんだと、強者論を振りかざし「行ける、行ける」とムードを煽る人も減るだろう。 多くのメディアはこれまでその調子で視聴率を稼ぎ、部数を伸ばそうとしてきた。アジアの弱小チーム、親善試合で来日するB代表クラスのチームに辛勝しても「勝った、勝った」と、大喜びを繰り返してきた。強豪との対戦は数えるほど。勝ちやすい設定の中で試合を行ない、勝てば喜んだ。そしてそれに異を唱えれば、ネガティブな志向の持ち主だと揶揄された。