マイケル・クスマノが予測するMSの未来 買収交渉破談後もヤフーに秋波を送るマイクロソフト。その戦略は果たして正しいのか。『マイクロソフト・シークレット』の著者で、IT産業分析の泰斗、マイケル・クスマノMIT教授は、買収すべき相手は消費者向けビジネスを展開するヤフーではなく、企業向けソフト大手の独SAPだと言い切る。(聞き手/ジャーナリスト 瀧口範子) マイクロソフトはヤフーへの買収攻勢で多大なエネルギーをロスしたが、本来の買収対象はコンシューマ(消費者)向けビジネスを展開するヤフーではなく、企業向けソフト大手のSAP(本社・ドイツ)であるべきだった。 マイクロソフトがインターネット部門のMSNから得る収入は、全体の5~6%にすぎない。グーグルという巨大な脅威を前にし、自社の技術だけでは成長が見込めないとヤフー買収に走ったわけだが、その判断が間違っていた理由は複数ある。 第1に、買収額