転居を伴う転勤は家族の生活設計に大きな影響を及ぼす。労働市場が変化して、共働き世帯が増える中で、転勤のあり方をどう見直すべきか。転勤に関する研究を進める武石教授に聞いた。 女性活躍推進の阻害要因 「就業構造基本調査」によると、転勤をしている人の数は年間およそ60万人。雇用者約5500万人から見れば多くはありません。事業所が一つしかない、特定の地域内での事業展開である─など、転居を伴う転勤がない企業もあるため、転勤は労働者全体に共通する問題にはなりにくい課題でもあります。 ただ、転勤は、その可能性のある労働者にとっては本人のキャリアのみならず家族にも大きな影響を与える問題です。また、女性活躍推進が進む中で、転勤が人材育成の阻害要因になっています。例えば、女性労働者が出産・育児をすると転勤しづらいという問題が出てきます。また転勤は、他社に勤める配偶者の転勤により自社の従業員が離職等の影響を受け