電子書籍時代のブックデザイン 26―一週間EPUBと格闘してきて、どうしてもiBooksで読まなければならない、という止むに止まれぬ理由でもないかぎり、EPUBで電子ブックを作らなければならない根拠がみつからなかった。 もちろんEPUBという電子ブック・フォーマットが悪いわけじゃない。アメリカの電子ブックの多くがこれで作られているのだから、フォーマット自体に問題があるとは思わない。そういうふうには思っていないのだが、本をデザインすることを生業とするものにとっては「レイアウトする」という行為と、EPUBという最終的な「かたち」に比例関係が成立しないのが困る、のだ。 「複雑なものを作りたい」ということではない。EPUBにXMLだのSVGだの(書いていてもよくわからないが)という、より高度な記述言語を用いれば複雑なことはできるらしいが、そんなことを学んでから、なんていうのもなんだか本末転倒だろう