専用端末機でデジタル化した出版物を読むことができる電子書籍が、出版業界の経営基盤を脅かしつつある。ネット通販最大手、米アマゾン・ドット・コムが先週、電子書籍端末「キンドル」の値下げを発表。出版業界には、アップルのデジタル携帯端末「iTunes(アイ・チューンズ)」で苦境に立たされている音楽業界の二の舞いになると悲鳴が上がっている。 ≪現状価格なら頓挫≫ アマゾンは8日、キンドルを17%値下げし、299ドル(約2万7670円)にすると発表した。同端末は市場で支配的立場にあり、出版各社は現在の構造が続くと、電子書籍提供料の値下げ圧力にさらされ、経営悪化は避けられなくなる。 米資産運用会社サンフォード・C.バーンスタインによると、出版社は通常、電子書籍1冊につき2.15ドル、印刷物の場合は1部につき26セントの利益を得ている。1冊当たりの利益が高い電子書籍は業界の将来を担うものと位置