世界史の構造 (岩波現代文庫 文芸 323) 作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/06/25メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 232回この商品を含むブログ (75件) を見る この本は、3年前に読んだ『世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて』(岩波新書)の内容を敷衍しつつ、より詳細に記述したものとなっている。これまでのカント、マルクスについての研究を世界史という視点から肉付けし、いわば「柄谷史観」というべきものの総まとめとしての位置づけを有している。いいかえれば、本書はあくまで「総まとめ」であって、それを超えるような意義をその中からみいだすことはできない。現時点の社会・経済を考えるという視点からは、本書の記述から何らかのリアリティを感じ取ることは、少なくとも現時点ではできなかったように思う。*1 ここでいう「柄谷史観」とは、世界史を「交換」という