新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めて早2年が経とうとしており、いまだに予断を許さない状況だ。各国政府は国民の生命を守るための対策を講じているが、一筋縄ではいかない問題がある。強力な感染症対策をとれば経済活動は停滞し、多くの国民の生活は危機にさらされる。一方、経済活動を重視して感染症対策をゆるめれば、多くの国民が病に苦しむことになる。 何を優先するか。身に降りかかる出来事や国内外の報道に触れるなかで、多くの人が大なり小なり考えたことだろう。 現代で大切にされている「自由」も、感染症対策にあってはどうしてもいくらか制限しなくてはならない。しかし、どこまでの制限なら許されるのか。この問いに哲学的に明確な答えを出すことはむずかしいが、どの国の政府も対策をとる際に必ず意識するものがある。それは憲法と法律、そして世論だ。いかに革新的な技術や方法があるとしても、法や世論を無視して強行することは、