第1章-近代西洋音楽の成立(ルネサンスからクラシックへ) 1.西洋近代音楽の成立 西洋における音楽は,ギリシア・ローマの古典時代から,自由人の教養として重視されてきた。中世においては,教会音楽や吟遊詩人(トゥルバドゥール/11~13世紀に,南仏のラングドックなどに出た吟遊詩人群。作詞・作曲して,たて琴にあわせて城から城へ巡遊して歌った。その詩は騎士的恋愛を賛美した叙情詩を本質とする。〈数研出版『世界史辞典【新制版】』〉)らの活動により発展したが,現代へつながる西洋の音楽は,基本的に15~16世紀に登場した,ルネサンス音楽をその基礎とする。その後,17世紀には絶対王政国家の成立により,至高の権力を握った君主や貴族たちの慰みのためのバロック音楽が成立し,オーケストラの形態・演奏方法・音楽理論等,現代音楽の原形が形成された。(この時期の音楽が現代大衆(ポピュラー)音楽にも大きな影響を与えているこ