今回の裁判員裁判の被告は72歳。検察の求刑が懲役16年で多少の情状が認められても10年を下回ることはないだろうから、80を超えるまで塀の中で暮らす可能性が大変高いが、こうした高齢受刑者がここ10年で倍以上に増加しているので、黒羽刑務所で私が見た彼らの処遇状況を少々お話しておきたい。 まず高齢者といっても人それぞれで、60を超えた程度でも呆けてしまう人もいるし、80でも元気カクシャクな人もいる。ム所にはいるとまず2週間の教育期間があり、そこで個人の適性や状況が把握され、どのような処遇(労働の種類)を受けるかが決まる。 この期間に「とりあえず労役遂行に問題なし」と判定されると、若い受刑者などと一緒の工場に配属される。作業は出来る連中のレベルに設定されているから、そこで落ちこぼれると、段々簡単な工場へと移される。そうやって16工場に廻ってくる者も多い。 ム所に入ってきた時点で、明らかに「こりゃア