数ある渡邊文樹監督作品中でも、タイトルからして強烈なインパクトを持っているのがこの『バリゾーゴン』です。VHS時代にはウチの近所のレンタル屋さんにもあったような記憶がありますが、はっきりと覚えてはいません。 この映画で覚えているのは内容よりも近所のそこら中の電信柱にベタベタと貼り付けられたポスターでした。「失神者、続出!」のような言葉が殴り書きされていた下品なポスターは悪趣味極まりなく、上映後もほったらかしで何ヶ月も貼られたままクシャクシャになっていき、最後は自治会の人がブツブツ言いながら剥がすのが常でした。 このような街の景観を汚すようなやり方は不愉快でした。現在の感覚では隠蔽するのが当たり前のようになっている見せ物小屋的なやり方をあえて用いて、集められるだけの無知な群集を公民館に引き入れ、ポスターで煽り立てた内容とは程遠い作品を上映する。 酸いも甘いも経験した昔の人と違い、騙される方が