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ブックマーク / www.jstage.jst.go.jp (192)

  • 知のインフラ整備とデジタル著作権の挑戦

    なぜ,これをフランスが,EUが,行うのか。ご存じの方も多かろうが,Google対抗軸である。世界の検索エンジンシェアの大半を握るインターネットの巨人は,既存のコンテンツ/データのデジタル化にもとびきり熱心だ。「Googleブックス」というプロジェクトがある(図2)。古今東西,世界には1億3,000万冊の書籍があるそうだが,それをすべてスキャンしてデジタル化し,OCRをかけてインターネットで全文検索を可能にする。書籍の著作権が切れていれば全文が表示され,切れていなければ該当箇所の抜粋などが表示される仕組みである。いわば全世界電子図書館化である。こちらもすでに3,000万冊がデジタル化済みだという。 EUはこれに危機感を持った。「域外の,1民間企業に文化のデジタルアーカイブを握られていいのか」との声が挙がった注2)。民間企業であれば利益優先,倒産もあり得るといった指摘もあったが,それ以上に文化

  • 反転授業 ICTによる教育改革の進展

    近年,「反転授業」とよばれる授業形態が注目を集めている。反転授業とは,授業と宿題の役割を「反転」させ,授業時間外にデジタル教材等により知識習得を済ませ,教室では知識確認や問題解決学習を行う授業形態のことを指す。タブレット端末やデジタル教材,インターネット環境など情報通信技術(ICT)を活用した反転授業の教育実践が初中等・高等教育で広がっている。反転授業の普及の背景には,オープン教材(OER)とICTの普及があり,わが国においても初中等教育や高等教育での導入事例がみられる。反転授業の導入によって,学習時間を増やし教室内で知識を「使う」活動を促し,学習の進度を早め学習効果を向上させることが期待される。一方で,反転授業の実施にあたっては,学校や家庭におけるICTの環境整備やオープン教材の普及,自習時間の確保や教員の力量形成が課題となる。 近年,「反転授業」とよばれる授業形態が注目を集めている。タ

  • All I need to know I learned from ···(その3:1月号だけど匂蕃茉莉の章)

    9月号掲載の「その2:ひまわりの章」ではネタを詰め込みすぎたかも? というのが反省点ではあるが,とにもかくにも,私が主張したかったのは,どれだけ知識や経験を有していても,自分の頭でそれらをつなげて考えないとまったく意味はない,ということに尽きる(ああ,またキツイことを言ってしまった…)。 ネタの詰め込みすぎに関して言い訳すれば,2012年の夏にこの連載の依頼を受けた時,てっきり毎月12回分を書くものだと思い込み,あれこれと材料を仕込んだ後で,3回だけ書けばいいらしいということに気がついたのが,そもそもの原因である。そして,せっかく仕込んだネタはできる限り使おうと決意し,なんとか始末をつけたつもりなのが,前回の結果である。「備えあれば憂いなし」を地で行く用意周到さは,時として墓穴を掘る。自戒したいものである。 さて,3回目にして最終回の今回は「変化と継続」について書きたい。と,深淵そうなテー

    xiaodong
    xiaodong 2014/01/06
  • 2013年DataCite夏季会議 研究をよりよくするために

    電子的なネットワーク上で情報を提供する際に利用される恒久的な識別子の1つとしてデジタルオブジェクト識別子(Digital Object Identifier: DOI)がある。世界に10のDOIを登録する機関(Registration Agency: RA)があり,DOIシステムを支えている。DataCiteはRAの1つとして傘下の会員の研究データに対してDOIを付与している。その目的は研究データへ容易にアクセスできる基盤を提供することにある。DataCiteは北米,欧州を中心として17機関の会員を有するコンソーシアムであり,事務局はドイツ国立科学技術図書館(German National Library of Science and Technology, TIB)が務めている。 論文を引用する際にURLを用いるとサイト構成やドメイン名の変更によりリンク切れが起きる。この問題を解決するた

  • 研究データ同盟(Research Data Alliance)第2回総会

    日程 2013年9月16日(月)~18日(水) 場所 米国科学アカデミー(ワシントンD.C.) 主催 研究データ同盟(Research Data Alliance) 後援 米国国立科学財団,米国国立標準技術研究所,欧州委員会,オーストラリア国立データサービス, マイクロソフト・リサーチ 研究データ同盟(RDA: Research Data Alliance)は,その名が示すとおり研究データの共有と活用に関心のある研究者,研究機関,研究資金提供機関,図書館等のゆるやかなコンソーシアムである。 その始まりはごく最近のことである。米国国立科学財団,欧州委員会,オーストラリア国立データサービスが合意して,2012年9月に発足した。これは国家間の取り決めではない。あくまでも3組織の合意である。その後,第1回総会が2013年3月18日から20日にかけて,スウェーデンのヨーテボリで開催された。今回は,こ

  • 農林水産研究情報総合センターのサービスの継承と現在 APIの提供を中心に

    農林水産研究情報総合センターでは各種のAPIを活用した図書館サービスを2003年から展開してきた。稿では,API導入の目的と運用,またその効果について紹介する。API導入後,農林水産関係試験研究機関総合目録の2012年の検索回数を分析したところ,APIを経由した検索回数は通常のOPACでの検索回数と比較して2倍以上であったなど,利用の増加があった。また,2013年3月に行ったシステム更新においては,国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)での出力に対応するなど,Linked Open Data(LOD)への対応に向けた改善を図った。

  • 「国立国会図書館の書誌データ作成・提供の新展開(2013)」について

    Online ISSN : 1347-1597 Print ISSN : 0021-7298 ISSN-L : 0021-7298

    xiaodong
    xiaodong 2013/12/15
    「5.5 国際流通」に注目。
  • WIDEプロジェクトの25年 日本とインターネットのこれまでとこれから

    1984年10月,東京工業大学,慶應義塾大学,東京大学のUNIXマシンが接続され,JUNETとよばれるネットワークが誕生した。JUNETは,電話網の上に構築されたネットワークであったが現在のインターネットの基礎となったネットワークである。単にサービスを提供するだけでなく,人と人のつながり,つまりコミュニティーを生み,そこから次世代の計算機環境を考えるグループが誕生した。これがWIDEプロジェクトである。ここではInternet Protocol version 6(IPv6)の開発に関わる活動をはじめとして,グローバルなインターネットに資するさまざまな研究が進められてきた。稿では,今年25年を迎えるWIDEプロジェクトの取り組みの歴史と成果,今後の展望について述べる。

  • オーサーシップの考えを変える時だ

    Online ISSN : 1347-1597 Print ISSN : 0021-7298 ISSN-L : 0021-7298

  • つながれインフォプロ 第3回

    Online ISSN : 1347-1597 Print ISSN : 0021-7298 ISSN-L : 0021-7298

  • ゲームチェンジの時代に

    Online ISSN : 1347-1597 Print ISSN : 0021-7298 ISSN-L : 0021-7298

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    xiaodong 2013/12/15
  • 研究・実務に役立つ!リーガル・リサーチ入門 第15回 ドイツ・フランス・ヨーロッパ連合(EU)法情報

    連載の最終回となるこの回では,前回「第14回 英米法情報」1)に引き続き,外国法情報の調べ方の各論として紙媒体資料,有料・無料のWeb情報を活用して,大陸法系の連邦国家であるドイツ,中央集権国家であるフランス,国際機関であると同時に超国家機関であるヨーロッパ連合(EU)の法情報(法令,判例,立法過程,法律文献)の調べ方を紹介する。「第13回 外国法情報の世界」2)で述べられたように,統治機構,法系,法文化等に違いがあることを前提に,調査の足掛かりを提示する。なお,ドイツは連邦,フランスは国について主に説明することをお断りしておく。 ドイツは,固有の憲法と国家権力と領域をもつ主権国家である16の州(Land)注1)で構成される「民主的かつ社会的連邦国家」(「基法(Grundgesetz)」第20条第1項)であり,連邦と州は立法・行政・司法の各分野で権限を分担する。ただし,州憲法は基法にい

    xiaodong
    xiaodong 2013/12/15
  • デジタル時代における知識循環型社会の価値創造基盤

    5世紀前のグーテンベルク革命に比べられる今日のデジタル革命は,社会の記憶構造を大きく変化させる可能性がある。過去が消えなくなり,無限に集積されていく情報資源となりつつある。この情報資源を保存し,再利用可能にしていくには,以下の4点の基盤整備が重要である。第1は,新たな知識コンテンツの公共的再利用に必要な法システムの整備である。とりわけ著作権者や所有権者が不明な知的資源を公的に再利用できるようにすることが喫緊の課題である。第2に,新しい知識循環型社会のプロデューサーとなっていくことができる専門職人材の雇用を生み出す必要がある。第3は,日やアジアの文化を世界に向けて発信・再活用していく基盤となるナショナルアーカイブの構築である。第4に,新しい知識循環型社会では,ローカルなレベルで「わが町・わが村・わが地域」の記憶を呼び戻していく開かれた仕組みが整備されていかなければならない。 今日のデジタル

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    xiaodong 2013/11/03
  • 日本の大学が生産した学術文献の言語別分析

    の学術情報流通に特有な言語の問題を議論するための基礎的なデータを示した。日海外の文献データベースをマッチングして,日の大学から生産される科学・技術・医学分野の学術文献を使用言語の観点から分析した。その結果,日の大学研究者は原著論文には英語を使用し,解説的文献や短報・予稿等には日語を使用する傾向にあることがわかった。また,英語の原著論文数は最近10年の間増加しておらず,大学が英語での研究成果発信を重視する傾向は,大学研究者の全体的な論文生産数には現時点で反映されていないことが明らかとなった。 研究開発活動は,「新たな「知」の創造やイノベーションによる新産業,新市場の創出等を通じて,経済社会の持続的発展や国際競争力の強化をもたらす源泉」1)である。特に,企業の研究開発費は日全体の研究開発費の約7割2)を占めており,そのさらなる活性化を促すことは,イノベーション創出の基盤を強化し

  • 世界図書館・情報会議:第79回IFLA(国際図書館連盟)年次大会

    日程 2013年8月17日(土)~23日(金) 場所 シンガポール国際コンベンション・エキシビションセンター(SUNTEC) 主催 国際図書館連盟(International Federation of Library Associations and Institutions: IFLA) 2013年のIFLA年次大会は,アジア諸国の中でも独自の国際的・多民族社会制度を構築し,また情報技術活用の先進国としても知られるシンガポールで,「未来の図書館:無限の可能性(Future Libraries: Infinite Possibilities)」をテーマとして開催された。日程は上記の通りだが,大会の中心は開会式が行われた18日~閉会式のあった22日の5日間で,17日はIFLA内の分科会等の事務会合に,23日は隣国マレーシアを含めた自由参加の図書館見学(3章で後述)に割り当てられた。大会参加

  • 研究・実務に役立つ!リーガル・リサーチ入門

    前回「第13回外国法情報の世界」1)では大陸法文化圏と英米法文化圏とについて解説があった。2つの法文化圏の主たる相違点は判例を法体系の中でどのようにとらえ位置づけるかという点にあるといえよう。幕末の開国に始まり,明治政府は近代化を推し進めるが,日は最初にフランス法を,次いで,ドイツ法を積極的に継受し,法文化圏としては大陸法文化圏に属することとなった。 それでは今回取り上げる英米法文化圏は日と遠いところにあるかというと決してそんなことはない。明治日において英米法は基法典の母法にこそならなかったものの,学理としては影響を与え続けてきた。例えば,1890(明治23)年に公布された旧民法が法典論争によって施行延期になったことも,施行を主張するフランス法派のグループと施行延期を主張するイギリス法派グループという学派の対立があったことなどが挙げられる。また,戦後においてアメリカ法が日国憲法を

    xiaodong
    xiaodong 2013/11/03
  • 日本の研究者による電子情報資源の利用

    国内45機関の参加・協力の下,2011年10月から12月にかけ電子ジャーナルの利用に関するアンケート調査を実施し,広範囲の主題領域の研究者(教員,博士後期課程大学院生)から3,922の回答を得た。これらのデータを多方面から分析した結果,電子ジャーナルの利用がより広範囲にかつ深く浸透するようになっただけでなく,利用者の読書行動や意識(選好)も大きく変化していることが明らかとなった。また,電子ジャーナルの利用度の違いは国際文献と国内文献のいずれを主に利用しているかに密接に関係しており,印刷体と電子情報資源に対するそれぞれ別個のサービスモデルの維持を避けるためには,国内文献の電子化の遅れの解消が必要であることがあらためて確認された。 1.1 SCREAL調査とは 文部科学省の学術情報基盤実態調査(大学図書館実態調査)結果報告1),2)によれば,国内の大学において利用可能な電子ジャーナルの数は20

  • つながれインフォプロ 第2回

    マイニング探検会(通称マイタン)は,図書館や出版業界など,知識情報産業に携わるメンバーを中心として,情報マイニングや検索,Webサービス技術にフォーカスして新たな図書館の未来を探ることを目的とした勉強会である。岡真氏(アカデミック・リソース・ガイド株式会社)と清田の両名を発起人として2010年4月に発足し,おおむね月1回のペースで開催している。2013年4月からは,東京と京都での隔月開催となり,関東・関西地方を中心に,約40名のメンバーが参加している。 マイタンの活動は,主に月例の勉強会と,不定期に開催する合宿,図書館総合展などでの成果報告などから成っている。月例の勉強会は,おおむね以下の内容である。毎回の内容については,マイタンWebサイト1)の議事録,USTREAMによる録画やTogetterなどから見ることができる。

  • オープンアクセスの広がりと現在の争点

    稿ではオープンアクセス(OA)運動の背景から現在までの流れを概観し,現在のOA運動における争点を整理する。現在,Gold OAはビジネスとして成立することを示し,Green OAは機関リポジトリ等においては成功しているとは言えないが,助成機関によるOA義務化を伴うことで成功例が現れている。そして公的助成研究に対するOA義務化の方針は確実に広がりつつある。商業出版者もOAを受け入れ,OA運動における主導権をめぐって図書館と対立するようになっている。その中で問題となっているのが再利用可能性とエンバーゴである。

    xiaodong
    xiaodong 2013/10/20
    オープンアクセス史概論みたいな切り口でとてもわかりやすかった。続編に期待。
  • 電子書籍がもたらす出版・図書館・著作権の変化 現状分析と今後のあり方の検討

    電子書籍の登場と普及が,印刷技術と物流,物販を基構造とした産業構造に変革を迫っていることは疑いもない。同時に出版物が担ってきた重要な役割である学術情報の流通や文化的蓄積にも影響を与え,ひいては図書館のあり方や制度設計も変わらざるを得ない。稿の目的は,普及が進まないと指摘される電子書籍の現状について解説した上で,普及のためになすべき制度整備や検討が始まっている著作権法改正について述べ,さらに図書館サービスに及ぼす影響や求められる対応について検討することにある。電子書籍がビジネス競争の単なる道具として利用されるのではなく,学術と文化の発展に寄与するためにどのような方策をとるべきか。現状分析により課題を明らかにし,その上で目指すべきあり方を検討する。