近代国家である限り、公権力の暴虐を戒めるのはまっとうな感覚であろう。民主主義の国に生きているなら当然の見解ともいえる。 ジョセフ・ナイ元米国防次官補(現ハーバード大教授)が2日、琉球新報の取材に対し、普天間飛行場の名護市辺野古移設について「沖縄の人々の支持が得られないなら、われわれ、米政府はおそらく再検討しなければならないだろう」と述べた。沖縄の民意に逆行して工事が進むことへの懸念を明快に示した形だ。 ナイ氏は米外交政策に最も影響力を持つ国際政治学者だ。米国務長官に助言する外交政策委員会のメンバーでもある。いわば米外交の主流中の主流だ。 これに対し日本の外交当局、政治の主流派は辺野古強行の大合唱である。沖縄の民意を正当に受け止める発言が、沖縄が属する日本からでなく、米国から出てくるばかりなのが残念でならない。 安倍晋三首相や菅義偉官房長官は「辺野古が唯一の選択肢」と繰り返す。だが、当の米国