◇おかしく悲しく、ぞっとする世界 アルゼンチンの作家というと、ホルヘ・ルイス・ボルヘスやフリオ・コルタサル、マヌエル・プイグなどは外国文学好きにとっては、今や「古典」と言っていい存在だろう。残念ながら、いずれも故人。 イギリスの文芸誌『グランタ』が2010年に発表した、スペイン語圏で現在注目すべき若手作家22人のうち8人がアルゼンチンの作家だった。「古典」もいれば有望な若手もいる。アルゼンチンは文学大国だ。 では、ところで、「古典」でもない若手でもない存在はどうなのか。中堅どころやベテランと呼んでもいい存命の作家たちは? かろうじてマルコス・アギニスの紹介は最近、相次いでいるが、他は日本への紹介がいまだ手薄だ。しかし、この層も、実のところ充実しているのが、文学大国たるゆえんなのだ。 1949年生まれだから、セサル・アイラは、中堅というよりはもうベテランといってもいいだろう。これまで60作以
わすれもの、うせものがたえない毎日を送る忘却散人(飯倉洋一)のブログです。2008年3月スタート。日本近世文学。 軽い読み物として、推敲もなしに書いていますので、学術論文などへの引用はお控えください(どうしてもという場合は、事前にコメント欄にでもご連絡下さい)。エッセイなどでの引用やSNSなどでのリンクはご自由にどうぞ。 先週末に行われた日本近世文学会。明星大学の学生さん、大学院生はいないというのに、実に見事な応対。気持ちの良いあいさつ、そして困っているとみるや声をかけてくれる親切、それが自然なふるまいとして出来るということ。とてもすばらしいことであった。さて、いろいろありましたが、やはり大トリの木越治さんの発表「『春雨物語』の彼方へ」に触れたい。 後半、発表要旨に書かれていないことを発表されたが、これは木越さんくらいになるとまあ許されるのかもしれないが本当はルールいはん、若い方は「これで
編者: 神田由美子・高橋龍夫 出版社: 翰林書房 参考税込価格: 1,995円 ISBN-10: 4877373314 ISBN-13: 978-4877373313 国家システムから諸学問、医術に至るまで、2000年近く中国文明の圧倒的な影響下にあった日本。しかしその「知的宗主国」が、ライオン群に襲われる巨獣のように、欧米列強の餌食になっている様を見てとった日本人は、学ぶ方角を決定的に変える。19世紀の「遣唐使」、欧米視察=洋行の始まりである。 坪内逍遥+二葉亭四迷という旧尾張藩コンビがスタートさせた日本近代文学も同様だった。明治だけでも、明治17年の森鴎外・ドイツ留学を嚆矢に、明治33年の夏目漱石・英国留学、以下、明治36年の永井荷風(米仏)、有島武郎(米)、明治39年の高村光太郎(米英仏)、明治45年の与謝野晶子(仏)と続く。――1カ月半もの船中生活のあと、地球の裏側に輝く近
オ・ジョンヒ 著 (韓国) 波田野 節子 訳 (現代アジアの女性作家秀作シリ-ズ) 段々社 (発行) 星雲社 (発売) 本体 2,000円 四六判 220頁 発行日 1997年3月 ISBN 4-7952-6514-3 韓国の二大文学賞(イ・サン文学賞、トンイン文学賞)受賞作家が描く珠玉の3中篇。 現代の平凡な中年女性の心奥のきらめきを映す表題作。日本の統治が終わろうとしている朝鮮の町を舞台に描く「 不忘碑 」。朝鮮戦争の直後、山間の村から港町に移ってきた少女の眼で描く「中国人町」。 「力強さとポエジ-のある作品である」― NHK テレビ( 辻井 喬 氏 ) 日本図書館協会選定 【著者紹介】 オ・ジョンヒ( 呉 貞 姫 ) 1947年ソウル生まれ。両親は北朝鮮の海州から38度線を越えて逃れてきた失郷民である。ソラボル大学在学中に短編 「 玩具店の女 」 で登壇。 1979年 「 夜のゲ-
→紀伊國屋書店で購入 安部公房の母、ヨリミが新婚早々安部公房を妊娠中に書いた小説である。 ヨリミは1899年、旭川のはずれの開拓地東高鷹村に生まれ、東京女子師範学校(現在のお茶の水女子大)に進むが、社会主義団体のビラを校内にはりだしたために放校になる。1923年、24歳の時に同郷の安部浅吉と結婚するが、押しかけ結婚だったという説もあり、相当はねっかえりのお嬢さんだったようである。浅吉は満州医科大学附属病院の医師だったが、たまたま東京の栄養研究所に留学中だった。新婚の二人は府下滝野川区で暮らしていたが、9月に関東大震災にあう。結婚、妊娠、地震があいついだ慌ただしい年に書かれたのが本書である。 『スフィンクスは笑う』という題名からまず思いつくのはスフィンクスの謎かけである。「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足の生き物はなにか」という例のあれである。 答えは人間ということになるが、本書にも三つの
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