『窓の外は水槽の中』 あふれる汗で制服のブラウスを濡らしながら、学校まで2キロの道のりを自転車でかけていく。田んぼの真ん中を走る農道はどこまでもまっすぐに続いていて、その先には学校が見えるのに一向に近づかない。空は青く、地平を見渡せばどこまでも緑の田んぼが広がっている。 これが私の住んでいる町の初夏の景色だ。 学校に近づくにつれて、徐々に顔見知りが増えていく。おはよう、おはようと声を掛ける生徒たちの中を縫いながら自転車の速度を上げていく。 正門を抜けて体育館の裏側にある自転車置き場に自転車をとめる。鍵はかけない。どうせこんなボロ自転車盗む奴いない。 玄関で靴を履き替える。玄関は人でごった返している。登校してきた生徒や朝練を終えた運動部員の汗で息が詰まりそうだ。廊下を曲がり、階段を3階にある自分の教室まで上る。教室のドアをくぐると、突然に生臭い臭いが鼻をついた。 教室の後ろの水槽からその匂い
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