ある日、自衛隊を退職したおじさんに会った。東日本大震災の直後、彼は「自分は自衛隊で鍛えた身体と技術がある」といって、被災地でのボランティアに立候補する。しかし、現地の自治体からきっぱりと断られた。それで、現在にいたるまで「なんで断るんだ、けしからん」とキレつづけている。 そこで、いろいろ質問をしてみた。震災直後の混乱期に被災地へひとりでいって、だれとコンタクトをとり、だれの陣頭指揮の下、どんな活動をしようとしていたのか。どこに泊まり、食事はどうするつもりだったのか。阪神淡路大震災や中越地震の際、ボランティアがどのように動いたのか知っているのか……。 別に責めるつもりはなかったが、質問をしているうちにおじさんは黙りこんでしまった。たぶん、おじさんは、現地の惨状をテレビや新聞で見聞きしているうち、現地の人びとを助けたくて仕方がなくなり、ボランティアを思いたったのであろう。そういう思い自体は尊敬