「もう(トイレに)行って大丈夫です」 「操縦を任せる」 「私にできるといいのですが」 この8分後、乗客乗員150名を乗せた独ジャーマンウイングスの旅客機は急激に高度を下げ、フランス南東部アルプス山中に墜落。機体は大破した。 「副操縦士が故意に降下ボタンを押した可能性が高い」――。 このフランス当局の衝撃的な発表を聞いたとき、私の頭に真っ先に浮かんだのが、コックピットクルーが持ち歩く、黒い“カバン”だった。 「コックピットの計器の数値は絶対に暗記してはいけない。常にマニュアルを見ながら数字を確認して、運行中も、計器の場所と数字の確認を、声に出しながらやらないとダメ。覚えた途端にミスは起こる。絶対に覚えないことが、ミスを防ぐ最大の方法なんだ。これ、持ってごらん」 フライトエンジニア(FE)の方はこう言って、見るからに重たそうな黒いパイロットケースを差し出した。 ※米ボーイング747-400が導
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