「なんだか僕が一番、(脱原発の)急先鋒(せんぽう)のように見られちゃって」。苦笑いするのは橘川武郎・東京理科大教授だ。原発事故を経て2030年にどのような電源構成(エネルギーミックス)をめざすのか。検討中の経済産業省の審議会で「再生可能エネルギー30%、原発15%」を主張する。 原発推進でも脱原発でもなく、中間的意見。それなのに目立つのは、審議会の委員14人のほとんどが原発維持・推進派と偏っているからだろう。さらに、経産省が原発比率を明言しないまま外堀を埋めようとしているためとも思える。 たとえば、「ベースロード電源」の割合だ。政府の定義では「安価で昼夜を問わず発電できる電源」で、原発、水力、地熱、石炭火力の4種類。経産省はこれらの電源が「あわせて6割以上必要」との見方を打ち出している。 4電源のうち急に拡大できない水力と地熱は現状から考えて合計1割程度。今3割程度の石炭は二酸化炭素排出量