東京電力など原発を保有する電力九社が、稼働している原発がなかった二〇一四年度に、プラントの維持、管理のため計約一兆四千億円を使っていたことが十七日までに分かった。各社はこの費用のうち多くを電気料金に転嫁しているが、原発の代わりに使う火力発電の燃料費も増え、財務悪化や電気料金の上昇につながっているとみられる。 収益を生まない稼働ゼロ状態でも一兆円を超す巨額の費用がかかる構造が、再稼働を急ぐ電力会社が「原発の稼働が必要」と説明する背景にあり、脱原発派の早期廃炉論も強めそうだ。 九社は有価証券報告書で「原子力発電費」として原発関連の支出を公表している。一四年度は計約一兆四千二百六十億円で、内訳は人件費や修繕費、使用済み燃料の再処理費などだった。大部分をプラントの維持管理費が占め、再稼働した場合は、さらに燃料費や使用済み核燃料の再処理費用などがかかる。