トップページ» 刊行物 » 生存学研究センター報告書 [24] » 第Ⅱ部 思考 ーフェミニズムをめぐる論考 ■理論/実践 4.マイクロアグレッション概念の射程 理論/実践 マイクロアグレッション概念の射程 金 友子 1 問題の所在 近年、ヘイト・スピーチが社会問題として注目されている。「ヘイト・スピーチ」という用語によってもたらされたインパクトは大きかったし、実際、なされていることの余りの酷さもあって、在日朝鮮人を主としてエスニックマイノリティに対する差別・暴力が問題として社会的に共有された。これは80年代の指紋押捺拒否闘争以来初めてではないかと思われる。しかし言葉のインパクトが先行してしまうと、これまでの差別と抑圧の歴史が見えづらくなってしまう。あの苛烈さは近年のことかもしれないが、差別はずっとあり続けて来た。ヘイトクライムといえる事件も数々起こっている。60〜70年代には朝鮮学校の