まえがき 2021年8月号の本の雑誌新刊めったくた原稿を転載します。この号に取り上げた本はこうやって振り替えると事件ものからサイエンス本まで幅広く、しかも面白いものばかりでいいバランスだなと思います。『エラリー・クイーン 創作の秘密』は本当におもしろかったな。『裏切り者』も、めちゃくちゃな実在の事件の本で素晴らしい。 2021年8月号 エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年 作者:ジョゼフ・グッドリッチ国書刊行会Amazon今回もっとも食い入るように読んだのはジョゼフ・グッドリッチ編『エラリー・クイーン 創作の秘密』だ。本格ミステリの巨匠として知られるクイーンが二人組みの作家であることはミステリファンはよく知るところだが、では、その二人はどのように作品を作り上げてきたのか、その内実が明かされていく一冊だ。 二人のやりとりの一部は書簡に残されており、その中でも一九四七