世界中でまん延した新型コロナウイルスへの対応を巡り、各国の特性が浮き彫りになった。中でも、多数の感染者によって社会的な抗体を作る「集団免疫」を目指したスウェーデンは異色だった。欧米の主流だった厳しい都市封鎖を拒絶し、多くの死者を出した。高福祉国家のイメージがある同国で、何が起きていたのか。現地在住の日本人が語った。(沢田千秋) 「平等、公平で高福祉というのが、日本人の一般的なスウェーデンのイメージだろう」と話すのは、東京都小平市出身の近藤浩一さん(45)。通信機器大手「エリクソン」の社員として、2012年からスウェーデン第2の都市イエーテボリに暮らす。自身もこの国にあこがれて移住したが、その固定観念を打破するため1月、「スウェーデン福祉大国の深層」(水曜社)を出版した。 近藤さんは「スウェーデンは先進的に人権やジェンダー、環境問題に取り組み、ノーベル賞の存在もあって理想郷のようなイメージが