本稿は、苅谷剛彦・オックスフォード大学教授の呼びかけで集まった研究グループ(50音順に相澤真一・上智大学准教授、氏岡真弓・朝日新聞編集委員、岡本尚也・Glocal Academy 代表理事、中村高康・東京大学大学院教授)における議論を踏まえて執筆しているものです。 「9月入学」に関する議論が喧しい。新型コロナウイルス感染症の影響(臨時休校措置)により、十分な学びを得られなかった人たちの学修機会を保障する手段として注目されているのに加え、最近は「国際化を進めるチャンス」「改革の象徴」といったスローガンで9月入学を推進しようとする動きも見られる。他方、実際に9月入学制度を導入する場合、多数の法改正が必要になること、巨額の家計負担や行政コストが発生すること、待機児童や教員不足の問題が顕在化すること、などの現実的な課題も指摘されている。また、当事者である若者の意見を見ても、9月入学に否定的な人の方
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