世の中には現状に決して満足せず、さらにいいものができるはずだと模索する人が絶えずあらわれる。長い歴史と経験を有する4ストロークオットー機関の改良ではなく、そのものに疑念を抱いた、ユニークな機関を紹介しよう。 FIGURES:5-STROKE ENGINE / Gerhard SCHMITZ 4ストロークガソリンエンジンは、燃焼エネルギーの大半を熱損失として捨てている。再利用の手段として一般的なのがターボチャージャーだが、間にデバイスを用いずに直接排気エネルギーを使おうと考えたのが、この5ストロークエンジンである。開発者のシュミット氏は、「出力のためには低圧縮に、効率のためには高膨張にしたい。しかし従来のオットーサイクルでは圧縮=膨張ではないか」と課題を掲げた。圧縮<膨張としては近年ミラーサイクルが有効策だが、熱損失の回復には結びついていない。これらの要件をすべて満たす機関として、5ストロー