人生の岐路に立つ人に、ぜひ読んでほしい一冊だ。銀行員としてスペインに滞在し、好奇心のままに出会いと学びを重ねた先に、フランコ政権下の弾圧を生き延び、今なお600万の人々が大切に使っているカタルーニャ語という「小さなことば」との運命の出会いが待っていた。 新たな言語をいちから学び、本を書き、翻訳し、辞書まで作った。自らの心が騒ぐ何かにひとたび出会ったら、己の情熱に蓋をするべからず。そんな風に生きていれば、どんな選択もいずれ「正解」になるのだと、この人の人生に説得される。 カタルーニャ語は方言ではなく、真に自立した優れた言語であると筆者は強調する。スペイン語やフランス語など、同じラテン語にルーツを持つ言語との類似性や差異を知ることは、それぞれの歴史や気質を尊重する精神の礎となる。カタルーニャ自治州の2017年の独立宣言はまだ記憶に新しい。大きな国の秩序が小さな国の多様な文化よりも優先される。そ
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